母が消えてから
待つこと数分・・・


「琴《こと》ちゃんおはよ〜」


さっきのは別人か?
はたまた双子の片割れか?

顔の周りにキラキラを配置させたような

見目麗しい母が戻ってきた


・・・スゲー


正面に座る母を視界に入れながら


・・・いただきます


両手を合わせた


「今日も朝ごはんありがとね」


首を傾けてお礼を言う母は可愛い


数分前までのどっかの浮浪者か?と突っ込みたくなるような寝癖はどこへ消えたのだろう

あ、あれか?
童話に出てくる小人が実は母の前だけ現れて
数人がかりで寝癖直しを請け負ってくれてるとか?

いや・・・ないか

それにしても・・・

艶々でストレートの黒髪
まつ毛エクステの付いた大きな瞳は黒眼が大きくて愛らしい

22歳で私を生んで15年余り
40を目前にした女性とは思えない程可愛らしいのは娘の贔屓目だけではないはず

ここまでシングルマザーとして頑張ってきた割に生活感のない母だけど

唯一・・・
まつ毛からは想像出来ないほど
短く切り揃えられた爪先を見ると

大黒柱に相応しい潔さを感じる

食べながら毎朝している観察中に
綺麗な所作で箸を持った母は

「いただきま〜す」


お味噌汁に口をつけて
「美味し」と目尻を下げた