フッと濡れた唇の端を吊り上げた理樹の瞳から逃れるように瞼を閉じると


「愛してる」


甘い声が耳に届くと同時に
また唇が重なった

角度を変えては食まれる唇は
熱くて痺れを伴う


いつもより長い口付けに
止めたままの呼吸が簡単に限界を迎える

酸素を求めて少し緩んだ唇から

熱い感触が侵入した

それを理樹の舌だと認識した時には
粘膜をなぞるそれに思考が乱されていた


「・・・んっ、っん」


歯列をなぞるそれから逃げるようにもがく舌が捕らえられ

ゆるりと絡みながら侵略を始める

耳から入ってくる水音に
身体の奥から熱が生まれ

苦しいのに
逃れる術が分からず

更に開いてしまった唇から
僅かの酸素と理樹の熱い舌が奥へと入り込んだ


・・・死んじゃう


逃げようとする私の動きを先読みしたかのように

頭の後ろに回された手がそれを阻んだ


「んふ・・・っあ、ん」


シャツを掴んだ手で胸を押すと
漸く唇が離れた


「・・・・・・・・・ハァ」


肩で息をする私を見て
間近で微笑む理樹が恨めしい


「こっちのキスはまだ・・・か」


少し緩んだ口元を
睨み返してみたけれど


「煽ってんのか?」


益々上がる口角を見て
頭を左右に振りながら両手で唇を隠した


イキナリ刺激が強過ぎて
命が縮むーーーーーーーーっ


でもね?理樹

こんなやり取りも
凄く楽しい


キュン死にしそうな理樹の色気も

低くて甘い声も

やっぱり全部好き


ピンク色の脳内変換中の私を知ってか知らずか

優しく微笑んで頭を撫でてくれる理樹に

もう一度抱きついた