・・・ゔぅ


頭が痛い




「え?」



ガバッと起き上がると

「痛っ」

頭に鈍い痛みが走った


またやってしまった

泣き疲れて寝るとか

子供か


ベッドから出てリビングへ足を進める

ドアを開けても理樹の姿は見えなくて

置いていかれた気分が膨らむ


「理樹の馬鹿っ」


こんな時に一人にするなんて


「おはようじゃなくてか?」


「ヒャ」


突然聞こえた声に振り返ると
シャワーを浴びてきたのか
髪をタオルで拭く理樹が居た


「おはよう」


申し訳程度に口にしたけれど
“馬鹿”は取り消せない


少し口角を上げた理樹を見上げていると


「あぁ、おはよう」


お色気ダダ漏れ第二波が襲ってきた


「琴もシャワー浴びておいで」


「・・・うん」


昨日出かけたままのワンピース姿に視線を落とすと

寝室に戻って部屋着を持ってバスルームへと急いだ


聞きたいことも話したいこともあるのに
自分のウッカリばかりで前に進めてない

慌ててシャワーを浴びて
着替えるとリビングまで大急ぎで戻った


ソファに座ってミネラルウォーターのペットボトルを持った理樹は


「風邪ひくぞ」


そのまま部屋を出て行ってしまった


「上手くいかない」


ポツリと溢した声は情けないほど震えていて

理樹の行動一つでこんなにもわかりやすい自分に気付いた


「髪、乾かすぞ」


「へ?」


いつのまにか隣に立っていた理樹は
ドライヤーを持っていた


「あ、自分で」


ドライヤーに伸ばした手を遮り
私の後ろにストンと腰掛ける



「・・・っ」



「俺がやりたいんだ」



膝の間に座る形になった動けない私は
大人しく理樹に髪を乾かしてもらった