side 御庭番組員



「海里、今夜は食事会だ」


朝イチの掃除中に兄貴から聞かされたのは

組長主催の食事会の話だった

普段から大広間で一斉に食事をすることの多い堂本組だけど

夜は手の空いた者から順にってことが通常

それを一堂に会するってことは
何か発表があるのだと思う

まだ堂本組に入って数年の俺は
末席近くだから
上座に座る組長以下幹部の方々との接点は少ない


・・・緊張する


少し浮ついた気分を制するように
玄関のドアを拭く手を動かした





そして・・・

19時ちょっと前に
堂本組 若頭の帰宅を知らせる電話が鳴った


一ノ門を潜って止まった車は
二ノ門が開くまでにセンサー検知を受ける


その間に組員が玄関までの両脇に整列する

ニノ門が開くと黒塗りのセダンが正面玄関前に横付けされた

側近の上原透さんが降りてきて
若頭側のドアを開ける

それが日常

なのに

今日は違った


透さんが降りてきて早々


「お嬢が寝てるから挨拶無し
物音ひとつ立てるなよ!」


・・・???


それを言うといつものようにドアを開けた

そして

いつもより時間を掛けて降りてきた若頭の腕には

・・・天使?

いや・・・

セーラー服の女の子が大事そうに抱かれていた

驚きすぎて


「「「「っ」」」」


俺たち一同息を飲んだ

それより

若頭が腕の中で眠る天使を
愛おしそうに見つめた


「「「「っ」」」」


お、俺・・・
若頭の柔らかな表情初めて見たっす





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