・・・・・・
・・・







背中の暖かさに起きようとする意識が微睡む

それを・・・
急に覚醒させたのは背後から聞こえた寝息


ボンヤリと開いた瞼はいつもより重い

頭も少し痛くて泣き過ぎた昨日を思い出した



あの部屋で寝たはずなのに・・・


私を背後から包み込むように抱きしめて寝ているのは理樹で

ここは理樹のベッド

混乱する頭をリセットしたくて
起きようとするのに

お腹に回された手と

脚も絡まっていて


理樹を起こさないように・・・

そう考える私の耳に


「おはよう」


耳の後ろで甘い声がした



ビクッと反応する身体を誤魔化すように


「・・・おはよう」


いつも通りに明るく
でも・・・振り返らずに答えた


「起きるね」


理樹の腕の中に居てはいけない気がして

起きようとするのに


「今日は休めば良い」


更に身体を引き寄せられた

それでも起きようともがく私に


「琴」


少し低い理樹の声が刺さって
動けなくなった


やだ・・・

胸の痛みに気が付いただけで
なんでもないのに

涙がまた溢れ

[好き]という感情が容赦なく私を掻き乱す

腕枕をしている理樹に気づかれたくなくて

全部の指で拭うのに・・・

溢れ続ける涙は止まらなくて

少し乱れた呼吸に

理樹が動いた


「琴」


身体ごと回転させられ視線が合わせられる


「・・・っ」


間近の理樹の目が僅かに開いた


「琴」


泣いている顔を隠すように
理樹の胸にオデコをつけると
少し早い理樹の鼓動が伝わってきた