寝てしまった亜樹の寝顔を見ながら
繋いだ手をそっと外すと病室を出た


扉の両脇に立つ護衛の近藤さんと立石さんに頭を下げると
にっこり笑って扉をスライドしてくれた


顔は厳ついけど堂本の組員さんはいい人ばかり


とりあえずトラウマも大丈夫のようでホッとした


自動ドアのように背後で閉まった扉の
外に立つ組員さんに頭を下げると
一瞬驚いた顔をしたあとで慌てたように頭を下げられた


・・・私の方が年下なんだけどな〜


そんなことを思いながら
歩き出そうとすると


「どちらへ」


やんわりと止められた



「一階の売店まで」



「何か必要なものがあれば
自分が買って来ます」



護衛のために此処に居るんだから
言いたいことは分かるんだけど

ついでにお菓子とか
ジュースとか

色々買いたい・・・


「あのね?浜田さん・・・
自分で選びたいの
だから・・・一緒に行きましょ」


背の高い浜田さんを見上げると
片手で口元を覆い隠した


・・・ん?


どうしたんだろうと首を傾けると


「お、お嬢さん・・・
自分、付き添いますっ」


噛みながら答えた浜田さんは
私から視線を逸らすと

半歩前を歩き出した
耳、真っ赤だけど大丈夫?
そんなことを思いながらも


「すみませんっ」


これ以上手間をかける訳にはいかないから

歩く速度を速めると


「すんませんっ、早すぎましたか」


急にペースダウンする


なんだかチグハグなやり取りに


「・・・フフ」


少し笑ってしまった


それが良かったのか
エレベーターに二人きりで乗っても
身体の震えは起きなくて

心底ホッとした



一階の売店で充電器と大量のお菓子とジュースを買った私は


大して重くもないのに
浜田さんに買い物袋を持ってもらい


亜樹の病室へと戻った


扉の前の護衛さんに近づくと


「若がお越しです」


頭を下げられた