しばらくして部屋に現れたのは
クソ女と両親
白夜会 三ノ組 傘下の笠井組組長
それがクソ女の父親の肩書き
泣き腫らした顔のまま
母親に縋り付く姿にも腹が立つ
バタンと大きな音がして
入ってきた父さんに
「グフッ」
笠井組長は背中を足蹴りにされて床に沈んだ
「立ったまま俺の倅を見下ろすとは
いつからお前は偉くなった」
決して荒げた訳ではない
静かな言葉に
さっきまでと比べ物にならないほどの
張り詰めた空気が部屋を支配した
「ヒッ」
それに耐えられなくなった
クソ女と母親も床に座り込んだ
一ノ組の組長である父さんは
白夜会のトップで[親]にあたる
組員から何度も何度も説明され
漸く覚えた裏の世界の仕組み
その親からすれば
三ノ組の傘下の組なんて
本来ならば直接会うこともない枝にすぎない
それを年に数度開かれるパーティは白夜会に籍を置く全ての組が参加を許される唯一の機会と
交流のチャンスにしているらしい
勿論、少しでも近づこうと
同盟、傘下は凡ゆる策を講じる
そんな中で今回下手を打った笠井組
それは・・・事実上の破滅を意味する
そして
その組を潰すのは冷徹な組長率いる一ノ組
ぼんやりする頭を切り替えれないまま
恐ろしく冷たい空気の中で
事は確実に進んでいて
白夜会から笠井組が消えた