「・・・・・・いっ」


「・・・ん」


「・・・おいっ」


「・・・・・・」



ガバッと起き上がると覚めてと願った双眸がこちらを射抜いていた


「亜樹っ」


嬉しくて大きな声になる


「五月蝿ぇ」


「ご、ごめんっ」


慌て過ぎてパニクりながらもナースコールを押した


「亜樹・・・」


指を絡ませたままの亜樹の手に力が入っている


昨日より酸素マスクの曇りも大きい

なにより・・・

薄っすらピンクになった頬と長いまつ毛が動いている


「亜樹」


言葉にするのがもどかしい想いが涙になって溢れ落ちる


「・・・琴」


「あ・・・、きっ」


「すまない、泣かせて」


「ん、違うの・・・っ」


嬉し泣きだよと片手で涙を拭う


「擦んな、傷になるだろ」


過保護発言に一瞬で頬に熱が集まる



「おぉ、目覚めたか」



一番ダメなタイミングで登場した院長は


「朝からイチャイチャしやがって」


ニヤニヤしながら


「身軽にしてやるよ」


点滴以外に繋がった管を
全て外した


「亜樹」


「琴・・・」


ベッド脇の椅子に腰掛けて寝たままの亜樹を見つめる

顔だけこちらに向けた亜樹は


「大丈夫か?」


そう言って微笑んだ


「それは私のセリフでしょ?」


いつもより優しい瞳に少し微笑む私が映っていて、それがとても嬉しい


「違げぇ」


「ん?」


「琴・・・震えてねぇか?」


あ、そうだった・・・

亜樹と会えなくなった原因の拒絶反応


「大丈夫みたい」


「そっか」


「うん」


ショック療法みたいなものだろうか?
どちらにしても良かった