キキキーーーー


タイヤの擦れる音が響いて加速してくるのは理樹の乗る車


・・・どうしたんだろう


それに続くように

バタバタと蜘蛛の子を散らすように
黒い集団が解かれ車が急発進を続ける


理樹の声が聞こえてから数分で元の静かな駐車場へと戻った


「どうしたの・・・。」


ポツリ溢れた声を拾う人も居なくて急に不安が押し寄せてくる


私をここまで連れて来た人も
あのアジア系の外国人も・・・

堂本の人達も・・・

亜樹達も居なくなった


それでもじっとして居られず
震える身体を抱きしめるようにしながら

さっきまでの喧騒の場所まで足を動かした


「・・・・・・嘘っ」


嘘みたいに静かなその場所に


丸く広がる血溜まり

背中を走る悪寒と込み上げる恐怖

力の抜けた両脚は踏ん張りがきかず
崩れるように地面に座り込んだ



・・・考えて・・・思い出して


自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐ


・・・理樹の声は聞こえた


・・・透さんも見えた


・・・・・・っ


「・・・あ、き」


ううん、そんなはずない


亜樹はいつも俺様で強いんだもん


「ゔぅ・・・、ぅ、あ・・・き」


何も知らないはずの
この血溜まりの意味を


悲しい声を出した理樹が肯定したみたいで

ガタガタと震える身体から力が抜けた









「琴ちゃん!」