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東と西の境界線近く、堂本の預かる一室久々顔を合わせたのは龍神会 一ノ組 大澤組
若頭大澤碧斗とその側近の田嶋一平


「久しぶり」


優男の田嶋がヘラリと挨拶する



普段使われないこの部屋は無機質

静かで重い雰囲気を醸し出していて

これから聞くであろう話に重石を乗せていた


薬はご法度


これは龍神《あちら》も
白夜《うち》も同じ

取り締まっても僅かな隙を突いてくる厄介な事柄

でも・・・


「珍しいこともあるもんだな」


少しの嫌味を目の前の大澤に打つけると僅かに口元を歪めた


東南アジアからのネズミを取り逃がしたのは西の龍神会


その所為で東《こちら》に流れてきたも同然



「こちらが考える先を行く」



眉間の皺が深いものになり大澤の気持ちが表情だけで読み取れる


敵も馬鹿じゃないということだろう


これ程までに余所者を嫌う理由は


確か・・・


6年前に侵攻勢力の攻撃を受けた龍神会

その時にターゲットになったのは
・・・ニノ組田嶋組


最終的に根こそぎ潰されたそれらの為に
田嶋が行った仕置きを聞かされたのは最近になってからのこと

裏の世界に身を置く自分でも
耳を塞ぎたくなるような仕置き


田嶋組長が夜叉になる程の対象・・・


掘り下げても中々出てこなかったターゲットを測りながらも
喰えない奴らには違いないと諦めた頃
出てきた名前は田嶋の姫“愛”だった


ゆるりと頭を過る昔話を一気に消し去る一声


「白夜の中に手引きした輩が居る」


田嶋の眼に獰猛さが宿った


「あ゛?」


俺より先に反応した透は眼力だけで田嶋を殺せそうな勢い


「潰せなかった大澤も手引きした堂本も罪は重い・・・」


大澤碧斗が吐き出した言葉に小さく頷くと



「三日で跡形も残さねぇ」



相変わらずの渋い顔に言い放ち
もう一度一瞥して二人を見送った



side out