コーヒーを用意するとテーブルに置いて優羽の隣に座った


「湿布、まだ貼ってるね」


クンクンと鼻を動かす優羽


「後、膝と二の腕だけね」


随分と減ったことを伝える


「それより・・・学校大丈夫??」


私に合わせて東白に変更した優羽
入学式の翌日から亜樹達と行動を共にしているから女子生徒からの妬みもあるだろう


私が休んでいる今
優羽は一人で寂しい思いをしているはず


そう思ったのに



「全然大丈夫、あっ
琴も復帰したら紹介するけどクラスで面白い子見つけたの」



そう言うと“面白い子”の説明を始めた



正直・・・
聞きたいのはそれじゃない


優羽のことは知りたいけど面白い子には興味もない


一番聞きたいことは・・・



「琴・・・珍しく顔に出てる」



指でオデコを弾かれた


痛いと手をオデコに当ててみると間近の顔がスーッと真顔になった



「亜樹ね、来てないの」


「え?」


「ついでに大和も永遠も来てない」



天使が眉を寄せて渋い顔をした


その眉の間をジッと見つめるだけの私に


「そんな顔したって・・・堂本の家には行かないわよっ」



急に両手を突き出して
“お断り”と言わんばかりのブロック体勢を取る


「でも・・・」


急に眉を戻すとニコリと笑った



「・・・ん?」


「これ」


片手をポケットに突っ込んで取り出したのは


「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ」


行方不明だと思っていた私の携帯だった


「嘘っ、ありがとっ!」


興奮して画面に触れるけれど


「・・・お?」


画面が真っ暗で反応なし


「それ、充電ないと思うわよ」


バッグの中から充電器を取り出した