何かしてないと気持ちが壊れそうで料理を作ることにした
飲み物しか入っていない冷蔵庫は私が来るのに合わせて食材が沢山詰め込まれていた
「凄い」
調理器具も全て揃えられている
食材を手に取るたびに楽しくなってきて
いつしか夢中になっていた
。
「いい匂いだ」
「あっ」
理樹の声に顔を上げると
いつの間にかカウンターに座っていて
「料理って見てるのも面白いな」
薄く微笑む理樹
「・・・恥ずかしいから見ていないで・・・」
包丁段階は済んだけどジッと見つめられているのも居心地悪い
料理と同時に洗い物を済ませながら
“あっちで待ってる”とソファに移動してくれた理樹の横顔をチラチラ見ていた
・・・亜樹に似てる
そう思った
複雑な想いが渦巻く胸を誤魔化すように深呼吸してみる
・・・声、聞きたい
・・・顔も見せて欲しい
気持ちが溢れてきて
いつしか手が止まっていた
「どうした?」
間近で聞こえた声に顔を上げると直ぐ隣に立っていた理樹
頭にポンと乗せられた手から温もりが伝わってきて鼻の奥がツンとする
護られる立場って
こんなにも私を弱くするのだろうか
感情を表に出さない生活だったのに
今は自分がコントロールできない
「深く考えず護られてろ」
フワリと抱きしめられ
理樹の香りに包まれると
居心地の良い胸にオデコを付けた