「お前が入院してる間、不安もあったけど、それより寂しい気持ちの方が大きかった。勝手だけど」

「………」

「ずっとひとりで暮らしてたはずなのにな。ひとりでいるのとひとりになるのは違うって言うけど、ほんとにそうだと思ったよ」

「………」

「だからさ、いつもお前のこと、ひとりにさせてて悪かったなって。電話でも何でも、する時間くらいいくらでもあったのにって」


涙が溢れる。

言葉にならなくて、首を振ることしかできない。


神藤さんはそんな私を笑いながら、そっと涙を拭ってくれた。



「すぐ泣く」

「だって神藤さんが優しいこと言うんだもん」

「バカ。俺はいつでも優しいだろうが」

「今は優しすぎて気持ち悪い」

「はぁ?」


顔を歪めた神藤さんを、私は笑った。

泣き笑いだった。


神藤さんは、怒った顔で、私の頬をつねる。



「お前は、そういうこと言える元気があるなら、もう一回できるよなぁ?」

「ひゃー、ごめんなさいぃい」


涙目で暴れる私を、神藤さんはまた笑った。


生まれてきた意義はまだ見い出せていないけど、でも神藤さんが私の存在を望んでくれるなら、他にはもう何もいらないんじゃないかと思う。

こんなにも幸福な時間が、ずっと続けばと、私は心の底から願った。