はっきりと言葉にしたら、神藤さんはひどく驚いて、次にはまた笑った。



「俺ら、今まで何やってたんだろうなぁ」


ほんとにそうだ。

私も笑ったら、肩を抱かれて引き寄せられて、今度はちゃんと、キスされた。


そのままベッドに倒される。



「ほんとに平気か?」


その問いの意味するところはわかる。

見下ろされ、鼓動が速くなって、息が上ずる。



「今も仕事のこと考えてる?」

「バカ。お前のこと考える以外の余裕はない」


また唇が降ってくる。

私は神藤さんの体に腕をまわす。


今、この瞬間が、どれほど幸福なのかと思うと、泣けてくる。


もつれるまま服を脱ぎ、一糸纏わぬ姿になる。

私の指輪とネックレスにキスをして、神藤さんは中へと入ってきた。



熱と圧迫感に、息もできない。

それでも、苦しげな顔をする神藤さんを、ひどく愛おしく思う。


何度もキスをしながら、求め合い、果てる間際、



「杏奈」


と、神藤さんは小さく私の名前を呼んだ。