入れ替わるように、神藤さんは再び私の前に立った。

神藤さんのスーツはところどころ血で汚れ、その顔は憔悴しきっている。



「……神藤さん」

「寿命が縮むかと思ったぞ」


そう言いながら、神藤さんは崩れるようにうな垂れる。



「お前まで死ぬんじゃないかって、怖くて、怖くて」


声が、震えていた。

こんな神藤さんは、初めてだった。



「ごめんね。お兄さんの時のこと、思い出させちゃったよね」

「バカ。人の心配してる場合かよ」


力なく顔を上げた神藤さんは、涙目だった。

死ななくてよかったと、心底思った。


神藤さんは、そっと私の体を抱く。



「よかった。ほんとによかった」


神藤さんが泣くから、私まで泣いてしまった。


体は動かせないけれど、神藤さんのぬくもりだけは、はっきりと感じられた。

泣いて、泣いて、今は他のことを言える余裕なんてなかった。