そして迎えた、誕生日当日。
私は今日で、24歳になった。
だけど、年齢の所為なのか、それとも神藤さんとのことがあるからなのか、いやきっとその両方が原因で、浮かれた気分にはなれない。
こんなに寂しすぎる誕生日は嫌だと、昼間、街に出てみたけれど、服も靴も、手に取った何もかもが輝いて見えず、買うことなく棚に戻した。
誰かと会いたいと思っても、平日の昼間に暇してる友達なんていない。
今日だけは、現実逃避していたかったのに、なのにどこで何をしていても、結局は神藤さんのことを考えてしまう自分がいた。
今の私の生活の中心は神藤さんで、だから距離が近すぎたのを好きだという感情に結び付けただけなのか。
それとも私は本当に、神藤さんじゃなきゃダメだから好きになったのか。
いや、とにかく好きになってしまったものは仕方がないとしても、それを神藤さんに伝えたら、それから私たちの関係はどうなってしまうのだろう。
そもそも神藤さんは、どうして私にキスしたのだろうか。
告白云々の前に、そこを問いただす方が先か。
元カレの時はどうだっただろうと思い返してみると、何となく口説かれて、何となく体の関係になって、何となく合鍵を渡してしまって、そして気付けば貯金を奪われていた。
始まり方を思い出したかっただけなのに、余計な記憶まで掘り起こされて、つくづく私は恋愛に向いてないなと、落ち込むばかり。


