もう涙目だった。

梨乃の前だし、お酒がまわっているのも手伝って、私はみっともなくテーブルに突っ伏してしまう。



「私、どうすればいいのかなぁ」

「コクればいいじゃん」


梨乃はストレートに答えを投げてきた。

が、それができないから、私は余計に悩んでいるのだ。



「コクるとか、それこそ中学生じゃん。しかもそれでフラれたら、私もう神藤さんと一緒には暮らせないよ」

「だよねぇ。辛いよねぇ」


梨乃は完全に他人事という感じで、笑いながらビールグラスを傾ける。

わかっているなら聞くなと言いたかったが、でももうその気力もない。



「私ね、あと半年後に、神藤さんとさよならしなきゃいけないって考えると、すごく悲しくなるの」

「うん」

「ほんとは就職のために、今のうちにちゃんと資格の勉強とかするべきなんだろうけど、どうしても、さよならする日を目指して頑張ることができなくて」

「うん」

「私は神藤さんなんか好きじゃない、ただの勘違いだ、って何度も自分に言い聞かせたんだよ? でも、そしたら余計に考えちゃって」


ぐずぐずと、泣き言みたいな言葉を連ねる私を、梨乃は否定も肯定もしなかった。

結局、解決策は自分で見付けるしかないのだと、私も梨乃も、わかっているから。