目が合って、私は微動だにできなくなる。

鼻先が当たりそうな距離のまま、少しの後、神藤さんは私に、触れるか触れないかのキスをした。


何が起こったのか理解できなくて、私は目を見開いたまま。



「できた」


そう言って、神藤さんは、何事もなかったみたいに体を離す。

私の首には、ネックレスが付いていた。



今のは、何?

キスされたよね?



ただ顔が近かったから、何となく?

それとも偶然の事故とか?


まさか、神藤さんが私を好きだからとかは、ありえないと思うけど。



「帰るか」

「え? あ、……うん」


私がうなづくと、神藤さんは車を進める。

困惑で、思考がまったく整理できない。


それからの帰りの車内では、私たちは一言も言葉を交わさなかった。