「最初は、妻のフリをしてくれるなら誰でもいいと思ってたけど、お前は予想外にいい働きをしてくれたしな。まぁ、そういう感謝も含めてだけど」


感謝なら、私の方がずっとしてるんだけどな。

あれから、衣食住に困らず、しかも貯金までできる生活を送れているのは、すべて神藤さんのおかげだから。



「開けていい?」

「安もんだから期待すんなよ?」


紙袋から包みを取り出し、封を開けると、中には小粒のダイヤのネックレスが。



「わぁ、可愛いー」


シンプルだけど、上品な一粒ダイヤ。

手に取ると、陽に当たってきらきらと輝いていた。



「神藤さんが選んだの?」

「わかんなくて店員に聞いたら、どこにでも付けて行けるからそれがいいって勧められて」


それでも、神藤さんが、私のために、わざわざ買いに行って、悩んでくれたことが嬉しかった。



「ありがとう。大事にする。付けていい?」


顔がにやける。

早速、首に当てるが、髪が邪魔で上手く付けられない。


私がまごついていると、「貸して」と神藤さんは言った。



「動くなよ?」


そう言って、神藤さんは、私の首に腕をまわす。

抱きすくめられているような体制で、息がかかるほど顔が近い。