翌日、家でひとり、悶々としている時だった。

携帯が鳴り、ディスプレイには知らない番号が表示されていた。


恐る恐る、通話ボタンを押す私。



「杏奈さん? 私、美嘉!」


スピーカーが壊れるほどの大声に驚く私。

続いて、相手が美嘉さんであるとわかり、また驚く。



「何で連絡してくれなかったのよ!」

「え、あ、いや」

「私、昨日、あれからあなたのことが心配で眠れなかったのよ? なのに、一晩経っても全然、連絡がないから、不安になって柾斗に番号聞いちゃったわよ!」

「はぁ、ごめんなさい」


その勢いに圧倒され、謝罪しかできない私。

もう少し、上品な人だと思っていたけれど。



「ねぇ、今、暇してる? お昼もう食べた? まだなら出てこない? 昨日のお詫びに何でも奢るから」

「だから別にお詫びとかは」

「じゃあ、ランチに付き合って。付き合ってくれたらお礼に奢る。それならいいでしょ?」


ものは言いようだ。

私が何か言うより先に、美嘉さんは一方的に時間と場所を指定して、電話を切った。


強引なところが神藤さんと似てるなと思ったけれど、でも今は、正直、そんなことより、面倒なことになってしまったなという気持ちの方が強かった。