「王!今月に入って、また、病死するものが!」


 須賀の国は荒れていた。


 川には銀が含まれていた。


 あの妖術使いが言っていたことは本当だったのだ。


 だが・・・だからといって、民から魚を奪うことは出来ない。


 禁漁こそ行ってみたものの、密漁者は、増える一方だった。


 そして、それらの魚を食した者たちは、年寄り、子供、女と確実に弱いものから病気に襲われ、命を落としていった。


「このままでは、たった一人の妖術使いによって、国が滅ぼされてしまいます!王!ご決断を!」


 鬼気迫るワノスケの声。


 ご決断といわれたって・・・。


「ヤマタノオロチ・・・か・・・・。」


 どうしても、引っかかる・・・。


 オロチ・・・まさか、お前がそんなコトをするはずがないだろう?


 いや・・・7年も暮らしていたから分かることもある。


 オロチ・・・お前は、それ以前に妖術なんて使えないじゃないか?


「俺が行こう。お供をつけろ。」


 スサノオウは腰につけた、剣に手をかけると、立ち上がる。


「王自らですか!?」


 驚いたのは、ワノスケの方。