「・・・・・・・・・・・え?」


 その言葉に、驚いた声を上げたのはスサノオの方だった。


「ん?どうしたの?」


 しかし、女は何のことか分からないという顔を向ける。


「・・・いや・・・昔、そのようなことを言われた気がしてな・・・。」


 父に母に・・・そして師に・・・。


「そう・・・。」


 しかし、女はそれ以上、何も語ろうとしなかった。


「女・・・名は?」


 何となく聞いてみたくなった。


 深い意味はないけれど、ただ、何となく・・・。


「・・・クシナダ。良ければ、クシナダヒメとでも、呼んでくれたまえ。」


 誰が呼ぶか?


「そうか・・・クシナダ・・・覚えておくことにしよう・・・。」


 クシナダ・・・。


 それは、後のスサノオウの妻の名。


 それは、ヤマタノオロチに食われそうになる姫の名・・・。