「アレだけの仰々しい連中が来れば、身も隠したくなるさ・・・それにしても、須賀の国の王子さまとはな・・・世の中は本当に分からないな・・・。」


 オロチは口とは裏腹に、まったく驚いた表情を見せない。


 薄々感づいていたのか、それとも俺に気を使ってくれているのか・・・。


 どちらにしても、今はそのほうがありがたい。


「すまない・・・隠すつもりはなかった・・・いや、俺は既に王家とは関係ない人間だと思っていたんだ・・・それは、本当だ。」


 今さら、須賀の国と自分は無縁。


 本気でそう思っていたのだ。


「まぁ、良いさ・・・酒を買ってきたんだ。飲むだろう?」


 言うと、オロチは酒ビンをスサノオに見せ付ける。


「あ・・・あぁ・・・。」


 それは、最後の晩餐。


 二人で交わす最後の酒・・・・・・・。


 断れるはずはなかった。