「嘘ですよ。二人にはその時間が必要だったと思えるように、紺野課長がこれから頑張ればいいんです。桃も、頑張ればいいんです。」
「そうだな。」
「はい」
「頑張りますよ、俺は。そう思えるくらい大切ですから。彼女が。」
「頑張ってください。寂しくなったらいつでも我が家に来てくださいね。手料理で慰めますから。」
佳子の言葉に司はくしゃっと笑う。
「ありがとう。」
「いいえ」
「そういえば俺もう課長じゃないんだけど。」
「じゃあ私も、高岡じゃありませんよ?」
二人が笑いあっていると明らかに急いでシャワーを浴びてきた龍仁が部屋に戻ってきた。

その慌てぶりに二人はまた笑う。
「なんだよ」
そんな二人に龍仁は少し不機嫌な顔をした。