佳子自身はそんな自分によく龍仁が愛想をつかさないでいてくれるなと思っていた。

こんなに素直じゃなくて頑固でわがままな自分を無条件に優しさで包んでくれる龍仁が、転勤とともに自分のそばから離れていくのではないかという予感がしていた。

だから自分に言いにくかった？言えなかった？

もしかして別れ話？

不安な思いをかき消したくて佳子は龍仁のぬくもりを求めた。


不安になるといつも龍仁のぬくもりが欲しくなる。



そんな自分をいつも優しくぬくもりで包み返してくれる龍仁。

こんなに大切な存在。手放せない。手放したくない。

でもこんな自分に龍仁にすがりつく資格なんてないのかもしれない。
第一、龍仁自身が望んでいないかもしれない。

想いがあふれて佳子の心は押しつぶされそうだった。