一気に声のトーンが暗くなった先生は
私と孝を放って歩いていった。


さっきまであんなに笑顔だったのに。


先生、いつもそうだよね。
孝が来たらすぐに私から離れるよね…。


なんで?


「陽奈?帰ろ?」


「あ、うん」


私達も学校を出て家に帰るけど
その間は孝の話が耳に入って来なかった。


先生が送ろうと思ってたって聞いた途端
孝、なんで待ってたのって


孝より先生が良かった、なんて
酷い事まで考えて。


だけど…先生の顔が消えない。


孝が来た瞬間の悲しそうな顔が。


私はやっぱり、いつでも心の片隅で
先生の事を考えてるんだ。