白衣の先生に恋しました。

この消毒液の匂いがする保健室に
どれだけ入ったんだろ…。


「椅子、降ろすよ」


椅子に座ってもずっと涙は流れ続ける。
震えなんて止まるどころじゃなかった。


「…っ………」


「…大丈夫…大丈夫だからね…
そう…落ち着いて」


先生がブランケットを掛けて
その上から背中をさすってくれる。


だけど


しばらくはその、先生の手も怖かった。


「陽奈ちゃん」


「ごめん、少しだけ質問に答えてね。
朝、学校には来れた?」


「っ…はい…」


「教室には?」


「…ドア、の…手間…っで、孝と凛と…
おはよっ、て…」


「あー…それから黒田くんと2人に
なる機会があって怖くなっちゃったり?」


「…そ…です…」


「教室には入れそうな気はした?」


「……」


「無理そうだね…。
黒田くんが怖いんだもんね…」