ﾓﾝｽﾀｰﾊﾝﾀｰﾙﾁﾌｪﾙ

（俺は、そんな……）

　頭の中が混乱してきた。



「っ！！」

　玄関の戸を乱暴に開け放ち、外へと走り出す。



　そして、気付いた時には村の端のほうにある、池の近くの大きな木の下まで来てしまっていた。



　そこに来てどうにか落ち着いたものの、家に戻る勇気が無かった。

　ついでなのでそこに座って、右手の傷をさすりさすりに考えることにした。



（いきなりあんな事言われて驚かない訳が無いだろう。
　まさか自分が拾われた人間だったなんて……）

「俺には家族がいないのかな？」

　アレックが見つかった時には既に一人ぼっちだった。

　さすがに五歳の子供がたった一人で竜車で沼地には行かないだろう。



　……と言う事は誰か他に人間がいた事になる。

　しかし母さんたちは見つける事が出来なかったのだ。

（もしかしたら、違う人に連れられて……）

　一瞬、アレックの脳裏にどこかで両親が生きているのかもしれないという思いがよぎった。

　そして、



「……旅」

　会える確立はほとんど無いに等しいが、やってみる価値はある。

　そう思えたのだ。