このご馳走はほぼ毎日食べているような物なのだが、いつ食べても飽きないのは母さんの腕が良いのか、それとも俺の舌が味わうということに疎いのか、まあそんな事はどうだっていい、ただ美味しければそれで良いのだ。



「ごひひぉうひゃま!」

 口に含みながらそう言って席を立ち、傍にあったミルクでもって喉の奥へと流し込む。



 それから洗面所に向かうと鏡の前で髪の毛を水で濡らして、そのまま指で解かして髪型を整える。

 ある程度直ったら今度は歯ブラシを片手に歯磨きをし始める。



 一通り終わって居間に戻ると、

「はぁ、スッキリし……
 ふがっ!?」

 居間に入るなり、突如顔面にタオルが直撃した。

「それで頭を拭きなさい!」







 そんなこんなの朝支度が終わり、二階に上がって着替えを済ませたアレックは、また一階に戻って来るとさっきまでとは雰囲気が違う母親の姿がそこにあるのだった。



「……あの人が亡くなって、ちょうど十五年目になるのね」



「母さっ?!」

 椅子に座った姿勢から急に立ち上がったと思ったら、いきなりアレックに抱きついてきたのだ。

(っ!?
 母さん?!)