アンが紙を受けとると、セレナは話を続けた。

「アンちゃん、絶対に生きて帰ってよね。じゃないとあたし、あなたのご両親に申し訳がたたないわよ」

「うん。って、え?!」

「話は帰って来てからのお楽しみ、お嬢様♪」

 最後の言葉だけ、2人にしか聞こえない小声で付け加えた。

「……ケチ」

 アンは1人口を尖らせてそう呟くと、ノアを振り替えって一緒にみんなの所へ戻っていった。

「その時はオヌシもここを離れてしまうのかの?」

「寂しいんですか?」

「そうじゃな。オヌシのいれるお茶が飲めなくなるのはちと寂しいのう」

「それなら、カトリーナにでも教えときますわ。味の保証はできませんけど」

「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。カトリーナのいれるお茶か。まぁそれも良かろう」



 アレックたちが依頼書を眺めている間、2人でそんな会話をしていた。