「はぁ~、先に行っちゃうなんて、らしくないですよ? ……あれ? ところでその子は……?」

 声は、聞くもの全てを魅了する、まるで歌姫のような透き通る綺麗な響きだ。

 声からしてシックルたちとあまり変わらなそうな20代といったところか……?

「私の知り合いだ。知り合いと言っても旅客船の中で知り合っただけなのだがな」

「ふ~ん。私はルーナ=クレイーヌ。まぁ、よろしくね~♪」

「レイン=フレスニールです……」

「久しぶり~♪ ルナ元気してた?」

「あっ! ティーじゃ~ん♪ 劇の方上手くいってる?」

「それがね~、最近また仕事が入っちゃってさ、なかなか本業に戻れないっていうか……」

「ギルドナイトも大変よね~」

「ホントよね~」



(あの~、なんか僕たち、そっちのけにされてるような……)