「はぁ、はぁ、はぁ……
 ……夢か」

 青年は手の甲に傷がある右手で、紺色のボサボサ寝癖で逆立っている髪をかきながら、今いる現実を見る。



「ふわぁぁぁ~…」

 両手を真上にピンっと伸ばしあくびをしてベットから降りると、一階へ頭をかきながら下りて行く。



 トン、トン、トン……



 青年は軽快なリズムを刻みながら階段を下りていると、下の部屋から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「おはよう!
 アレックったらまたすごい頭して……」

「おはよう、母さん」



 たった今下りてきた青年〝アレック=レオグラン〟は、母さんと呼ぶ女性に挨拶をして食卓の前に座った。



 すでにテーブルの上には朝食が並んでいる。

 ふっくらしたパンに、ジューシーに焼けたボリューム満天のこんがり肉に、色とりどりの野菜といった料理が並んでいた。

 アレックはそれぞれをパンに挟んでそれにお気に入りの〝母さん特性〟と書かれたソースをかけて頂いた。

(うまい!)