腰辺りからのびている尻尾は、胴体の3倍はある細長い鞭のようで、しなることなく地面にベタッとしている。

 そして、こちらを睨むように倒れている頭部は、尻尾ほどではないが、長い首の先についていて、白眼をむいている片方が潰れ、4本あった角はその内3本が折れている。

 手足はなるがままに放り出していて、動くことはなかった。



 動いてもらったら困るのだが。



 それは、この世の中にこんなものが生きていたのかと思えるほど、恐ろしくも哀れな姿だった。



「何をしている、早く来い!!」

 男が怒鳴る。

 ルチナは黒龍から目を離し、男の歩く先に目を向ける。



 そこには台座が4つ正方形に並べられ、中央には杯が乗った台が置かれている。



 壁に沿ってつくられた高台を進んでいき、最後に階段を上って台座の並ぶ一番高い所に来た。