このままでは黒龍が復活してしまう。

 それでも、今のルチナだけではどうしようもない、非常に悔しいものだった。



「こっちだ」



 階段を上がって外に出ると、そこはとてつもなく広い闘技場のような場所に出た。

 客席は無い代わりに壁がそそりたち、この円形の地形を囲んでいる。

 今自分が立っている場所は一端につくられた高台の上だ。



 空は黒い雲に覆われ、どこまでも漆黒の闇に包まれていた。

 まるで、太陽の照らす世界から完全に隔離された異空間。

 ここにいるだけで、生命力を吸いとられる感覚が全身に襲いかかってくる。



 それらの原因はすぐに分かった。

 この広い空間の中央に倒れ伏している巨大な漆黒の塊がそうだろう。

 黒くも赤く血塗られた胴体から生える、2つの悪魔のような翼は穴だらけでもはや飛べるような状態じゃなかった。