目の前が真っ暗。



 何も、見えない。



 怖いよ。



 誰か、助けて……



「………い……」



(……?)



 何かが聞こえる?



 誰か、いるの?

 アレック?

 レイン?

 アン、ノア?



 みんな、助けて……



「……おい!」

「……う、うぅ」

 誰かが鉄格子を激しく揺さぶる音がして、ルチナは目を覚ました。

「気が付いたか、これから儀式を行う。さぁ、ついてこい」



 その男はフードをかぶっていて、どうやらカインたちではなく、テスタメントの信者であった。

 そいつは牢の鍵を開けて中に入ってくると、ルチナの足についている手錠だけはずし、歩けるようにした。

「ほら、歩け!」

 乱暴に背中を押して牢の外に出す。



 ルチナは抵抗することも出来ず、ただ男について行くことしか出来なかった。