「あ、悪い、そっちに一頭行った!」

 すると、プリルの様子を隅っこで眺めていたライナスたちに、一頭のランポスが気付いたようで、ハイジャンプで飛びかかって来る。

「…!」

 ライナスが前に進み出て、背中の紅色に染まる太刀を抜き放ち、居合いとも言うべき素早さで襲いかかるランポスを、空中で一刀両断してしまった。

 黒い火花を散らすこの刀は、伝家の宝刀にして竜を断ち切るための妖刀、その名も『龍刀【紅蓮】』。

 この世界に存在するモンスターの中で、最大級の大きさを誇る、山のような巨大龍『老山龍(ラオシャンロン)』の、鼻の先に生えた五メートルもの角をそのまま刀の刀身として、加工された武器なのである。

 古より、古龍の素材を使った武器は龍殺しの力を得られると聞いている。