そんな事を言うなり、シックルはタバコと酒の臭いがぷんぷんする酒場の中へと入って行った。

「僕あの中はちょっと勘弁…」

「あたしもあれだけはキツイわ」

「同感」

 三人はぶつぶつ文句を言いながら、急かすシックルの後に続いて酒場へと入っていった。

「何? あそこの人だかりは?」

 ルチナは鼻を押さえながらハンターたちが一箇所に集まっているのに気付いて指を差してアレックたちに知らせた。

「ほんとだ、何かあったのかな?」

「行って見るか?」

 そして四人はその人だかりが出来ているカウンター近くのテーブルの所へと歩いて行った。

「ちょっとあんたどうしたのさ?」

 シックルが近くにいた、顔を輝かせて自分も見たいと必死に割り込もうとしている男に事情を聞いた。

「古龍オオナズチの素材だってよ!! まさか俺なんかが目にすることが出来るなんて夢みたいだ!! お前らも見てみろよ! いや、絶対見ろ!!」

 半ば強制的なその言い方に、シックル以外はポカーンと口を開けた状態でいたが、すぐにシックルにその口を閉ざされた。

「ほんとかい!? あんたたち、これは見ないと損するよ!」

 シックルはそう言うなり、自分もと割り込んで入って行ってしまった。

 三人も古龍という言葉に興味を持ったみたいで、シックルの後に続いて入って行った。

 そしてテーブルまで着くと、その上には鮮やかな紫色を放つ大皿ほどの大きな皮が転がっていて、周りから色々な素手がそれを触っていた。

「これがその、オオなんとかの素材? なんか気持ち悪い感じね」