ようやく降りてもらい、アレックは服の砂埃をはらってその子へと向き直った。



「今度はどうしたんだ!?」

 またランポスでも出たのだろうか?

「そうだ!
 そ、それがモンスターに追いかけられて……」



 すると、その子が走ってきた方の茂みからカサカサと音が聞こえた。

「あわわ、来たぁ!」

 そう言うなりその子はアレックの後ろに隠れた。

 音は段々と大きくなっていき、そして、



「ニャーーー!!」

 茂みからはなんと、

(猫?)

「あら」

「で、出たぁぁぁ!!」



 そう、飛び出して来たのはただの白毛の猫だったのだ。

 逃げてきた子はアレックの肩を強く握って震えている。

「はぐれアイルーかしら、こんな所でどうしたの?」

 アンは全く恐れること無く、その猫へと近づいて、しゃがんでそう言った。