「お前は逃げろ!
 あいつは俺が引き受ける、そのうちに早く!!」

(え、父さん?)

「そんな、だめよ一緒に逃げるのよ!!」

(か、母さん?!)



『グガァアアアアアア!!!」

(な、なんだあいつは!?)


「早く逃げろ!
 その子を、早く安全な所へ!!」

(そんな、待ってくれ!!)



 ・ ・ ・



「はっ!!」

 アレックは悪夢にうなされて、レインの親が経営するこの宿屋の一室のベットの上で、たった今目を覚ましたところだった。



「はぁ、はぁ、はぁ……」

 荒い息遣いが少しの間続き、治まった後ベットから起き上がり、鏡の前まで歩いていった。



(いつ見てもすごい頭だな)