「私たちは悪くない!その子が……」

「フランシスを誘惑して……!!」

二人は言い訳を繰り返す。二人の言葉は夢芽の耳には入ってこない。フランシスに抱きしめられている、ということにドキドキしてそれどころではないのだ。

「僕は根っからこの子に惚れてるけど?」

まだ言い訳を繰り返す二人に向かって、フランシスはそう言い放つ。そして、夢芽はふわりと解放されたかと思いきや、あごを優しくフランシスに持たれてそのまま唇を重ねていた。

目の前に、フランシスの顔がある。夢芽の心臓は高鳴り続け、夢芽は倒れてしまうんじゃないかと思った。

周りから歓声が上がり、二人は顔を真っ赤にして立ち去る。そのまま夢芽はフランシスに手を引かれ、その場から離れた。



「本当にごめんなさい!!」

離れた場所まで来たところで、フランシスは夢芽に頭を深く下げた。

「突然キスしてしまって……。おまけに「恋人」だなんて言ってしまって……」

フランシスは顔を赤くしながら言う。夢芽はそっと自分の唇に手を当てる。数分前にフランシスが触れた唇。