暗鬱な君に花束を




そう言った雨月くんの顔が、妙に色っぽくて。


ほとんど反射的に、心臓が高鳴る。同じ高校生とは思えなくて。


なんだか雨月くんの顔を直視できなくて、うつむいてしまう。


「…ごめん、困らせたか?」


心配そうな声で雨月くんが言う。


私がうつむいたのを、困ったからだと勘違いしたようだ。


だけど、「雨月くんの色気がすごすぎて直視できなかっただけです」なんて、恥ずかしくて言えない。


「ううん、困ったわけじゃなくて、」


「…じゃあ、顔上げれば」


「そ…それは無理」


「なんで」


ああ、まただ。また雨月くんを不機嫌にさせてしまった。


…でもどうしても、理由言わなきゃダメだろうか。


「ちょっと今、勝手に恥ずかしくなってて」


「……そ」


てっきり何か追及されるのだとばかり思っていたから、驚いて顔を上げる。