暗鬱な君に花束を




雨月くんはまたまた大きなため息をついて、少し不機嫌そうに言った。


「健全なダンシコーコーセーが。キスするのに理由なんかないときもある」


「……雨月くんも、理由なくキスしたりするの?」


ゴホッ、


私がそんな質問をすると、なぜか雨月くんはむせた。さらに、ちょうど飲んでいたお茶が変なところに入ってしまったらしい。


「…しねぇよ、…たぶん」


「たぶん、なんだ」


「ゼッタイとか言い切れるほど俺は大人じゃない」


そういうこと言えるところ、

……私から見たら充分すぎるくらい大人だ。


「…そうなの?」


「例えば今、そーゆー雰囲気になったとして、」


そこで一呼吸置いて、彼は言う。


「俺だって美羽にキスするかもしれない。…そういう関係じゃなくても」