暗鬱な君に花束を




「こういうこと、できるのかってこと」


そう言ったかと思うと、眺の顔が近づいてくる。どうしたらいいのかわからなくて、私は思わず目を閉じる。


…すると。


パァン!


「ってえ…」


聞こえたのは、なにかを叩いたような音と眺のそんな声。


恐る恐る目をあけると、目の前には頬を赤く腫れらした眺の姿。


その後ろで、礼奈ちゃんが眺を睨みつけていた。


「クソ椎名、ちょっとふざけすぎだから…」


…流れからして、礼奈ちゃんが眺を平手打ちでもしたのだと思う。雨月くんも呆れた様子。


「俺も今のは眺が悪いと思う。美羽をからかいすぎ。渋谷礼奈はやりすぎかもだけど」


「あの、これってどんな状況…?」


何がなんでこうなったのか、イマイチよくわかってないため、この中でいちばん落ち着いている雨月くんに尋ねた。


するとなぜか、かなり深いため息をつかれていまった。


「……美羽、お前いま、眺に何されようとしてたか、わかるか?」