暗鬱な君に花束を




その様子を見かねた雨月くんが口を開いた。


「…眺も渋谷礼奈も、美羽をからかいすぎ」


「さっき、雨月だって美羽と人には言えないような話してたくせに?」


「あれは……!」


眺は意地悪な顔で雨月くんに反論した。


珍しく雨月くんが取り乱している。……よっぽど知られたくなかったのかな。


「…その話は今は関係ないだろ」


「雨月も人のこと言えないじゃん?美羽は人より恥ずかしがりなのに、あんな誤解を招くようなことしてさ」


「誰がどう誤解したんだよ」


雨月くんがムッとしたように聞き返す。


「さあ?」


「……言えばいいんだろ。…酔い止めもらってただけだ」


「雨月くん…よかったの?」


あんなに言いたくなさそうにしてたのに、言ってしまってよかったのだろうか。


「いーよ別に。美羽、もういいのか?」


「…別に、怒ってはなかったもん」