暗鬱な君に花束を




少し……ううん、かなり意外だった。雨月くん、乗り物酔いするんだ。


「…いいけど……なんでナイショ話にしたの?」


乗り物酔いなんて、別に隠すようなことでもないはず。


「……眺が酔い止め持ってきてるとは思わないし。渋谷礼奈にはからかわれるのが目に見えてる」


「たしかに」


でも、礼奈ちゃんが誰かをからかうのには、愛があるから。


礼奈ちゃん、ホントに嫌いな人には絶対関わろうとしないもん。


雨月くんのことも、嫌いではないと思う。


「ちょっと待ってね、今出す」


「悪い、サンキュ」


少しだけばつが悪そうにする雨月くんが、なんだか可愛い。


「…美羽、雨月とコソコソして、なに話してたの?」


「……んー、ないしょ」


雨月くんがわざわざ私にだけ言ってきたんだもん、あんまり知られたくないってことだもんね。


「美羽ー、関根のヤツに変なこと言われたりしたの?」


「してないよ~」


礼奈ちゃん、雨月くんをなんだと思ってるの。