「ただいまー」
「あ、眺」
「誰か字キレイな人いる?ここに名前書けって言われたんだけど」
そう言って、眺は、持ってきた紙をヒラリとさせた。…たぶん、しおり作りとかに使うんだろう。
でも、こういうのって普通、学級委員の人とかが書くんじゃないだろうか。
そう思ったけど、学級委員の山田くんはあいにく休みだ。
「美羽の文字はキレイだよね」
「あ、たしかに。美羽、お願いできる?」
礼奈ちゃんの言葉に納得したような眺が、こちらを見つめてくる。
「別に、いいけど……そんなに期待しないでね?」
みんなの役に立ちたい気持ちがあって。
でも、頼りにされてるのに「期待外れ」なんて思われたくない、って気持ちもあって。
こんな、自信ないです…って言ってるみたいな言葉が出てしまった。情けない。



