「…でも、」
そこでいったん切って、私たちを真っ直ぐ見つめてくる雨月くん。
「美羽とか眺とかと行けるんなら、楽しいんじゃないかって、思う」
「…っ!」
嬉しい。そんなこと言ってもらえるなんて。
いつも私ばっかり、みんなに色んな気持ちをもらってばっかりだって思ってたから、自分が誰かにそんな風に思ってもらえるなんて、なんだか感動してしまう。
「…部活の合宿なんかより、ずっと楽しそう」
「部活の合宿?そんなのあるんだ」
「…ん。三日間弓道漬け」
そうだ、たしか雨月くんは弓道部。なんでも家が弓道場で、小さい頃から弓道をやっているんだとか。
大会でも上位の成績を収めたりして、相当の腕前なんだとか。
…こうしてダラけている姿からは、想像できないけど。入学式の日、「なにか武道やってそう」って感じたのは間違いじゃなかった。



