「ええと、今何て言ったの?私の聞き間違えじゃなければ、デートって聞こえたんだけど」

「デートだよ。別におかしいこと無いだろ。親父が仕事関係で遊園地のチケット貰ったんだ。高校生だとちょっと子供っぽいかもしれないけど、ムダにするより良いだろ」

間が悪すぎ、ちゃんと断らないと。今、休日ずっと一緒なんて、考えただけでも、ドキドキが止まらないのに。絶対、好きなのばれる。

「ええと、でも何で?」

「たまたまチケット取れたし、弁当作って貰ったお礼もあるから」

なんだ、そう言うことか。それじゃデートって言っても、そんな深く考えることは無い。

「後さ、お前最近様子へんだろ?」

「ウソ、どの辺が?みんなの前ではちゃんと恋人やれてるでしょ?」

「みんなの前ではあれで良いんだ。でも俺と二人きりになった時、前より喋らないし、ムッとしてるし、心配になってさ。なんか俺が負担かけたのかなって」

私は首を振る。確かに凜ちゃんに注意されて以来、私は秋山君と距離を置こうとしてる。気持ちがばれない位の距離。でもそれを心配してくれる。本当に秋山君ズルい。何でこんなに心配してくれるんだろう。いつもはちんちくりんなんて言うくせに。今は女の子扱いじゃなくて、ちんちくりん扱いの方が良いのに。

「で、どうする、嫌なら止めるけど」

嫌なんて言えない。

「行く、絶対に行く」