大嫌い、だから恋人になる

「でも味はヤバいんだろうな」

「普通だと思うよ」

「なんだよ、今日は絶対美味しいとか言わないのか?」

「まあね、普通のお弁当だし」

秋山君は一口、食べた。特に感想なし。二口目、やっぱり何も言わない。
失敗だったかな。

秋山君はその後も何も言わないで食べてる。

美味しくないなら美味しくないって言ってくれれば良いのに。

「ねえ、そんな無理して食べなくて良いって」

秋山君は箸を置いて不思議そうにこっちを見た。

「無理なんかしてない。これ本当にうまい」

「ウソ、だってそんなの普通のお弁当だよ」

「いや、こういうのが食べたかった。ありがとな」

秋山君は満面の笑みで言った。

私はびっくりした。

だって秋山君、そんな風に笑ったこと無かったから。

秋山君自身も、そんな風に笑った自分に驚いたみたい。

直ぐに不機嫌そうな顔になって

「まあ、前があれ過ぎただけだからな」