とりあえず一番話しやすそうな空港職員さんに、オーストラリア行きの飛行機の場所を尋ねてみた。

「何時の出発ですか?」

「ええと、お昼頃なんですが・・・すいません、それ位しかわからなくて」

職員さんは少し困ったみたいだけど、オーストラリア行きの飛行機が出るゲートを教えてくれた。

「ありがとうございます。行ってみます」

秋山君は見送りは嫌いだからって、クラスメイトの見送りを断っていた。そんなことしなければ、逢うことだって難しくなかったのに。

搭乗ゲートにやっとたどり着いた時、もうオーストラリア行きの飛行機は出発していた。

それでも私はもしかしたら次の便かもしれないって待ってみた。でも秋山君の姿は見えなかった。

搭乗口からはたくさんの人が出てきてまた帰っていく。

でも誰一人、私の知ってる顔の人はいなかった。